コールセンターで働くことは、様々なスキルを身につけることができる一方で、給料が低いという問題もあります。
そのため、多くの人がコールセンターを短期間で辞めてしまいます。
コールセンターで培ったスキルを活かせる次の仕事にはどのようなものがあるのでしょうか?
ここではコールセンターの給料相場や離職率が高い理由、スキルを活かした次の仕事先の選択肢について詳しく解説します。
コールセンターの給料相場はどれくらい?
コールセンターの仕事は雇用形態や役職によっても変わってきます。
多くの人は非正規雇用ですので給料は低い傾向があります。正社員の管理職になればかなりの高収入が期待でき、また高いスキルが求められるフリーランスとして契約する場合は一般の非正規雇用に比べて高い報酬が支払われることもあるようです。
①非正規労働の場合
パートタイマー:時給900円~1,200円程度
アルバイト:時給1,000円~1,500円程度
※非正規雇用であるため、社会保険や福利厚生が不十分であることが多いです。
②正社員の場合
初任給:月給200,000円~250,000円程度
中堅職:月給250,000円~350,000円程度
上級職・リーダー職:月給350,000円~500,000円程度
※特に、未経験からの採用や、大手企業以外の中小企業では、初任給が低めに設定されることがあります。
③正社員のリーダーや管理職の場合
チームリーダー:月給350,000円~450,000円程度
課長クラス:月給450,000円~600,000円程度
部長クラス:月給600,000円~800,000円程度
※リーダーや管理職になると、役割や責任が大きくなるため、給与も高くなります。
④フリーランスの場合
時給2,000円~3,000円程度
※業務内容や取引先によって異なりますが、比較的高い時給が設定される場合があります。
コールセンターの給料が低い理由は?
コールセンターの仕事は次のような理由で低く抑えられてしまいがちです。
非正規雇用の比率が高い
コールセンター業界は、非正規雇用(アルバイトや契約社員など)の比率が高く、非正規雇用の場合、正規雇用に比べて給与が低い傾向があります。
コスト削減の必要性
コールセンターは、企業のコスト削減の一環として、外部委託されることが多く、外部委託先はコストを低く抑えることが求められます。そのため、コールセンターの従業員に支払われる給与も、低めに設定されることがあります。
労働市場における需要と供給のバランス
コールセンターの仕事は、比較的スキルや資格を必要とせず、多くの人が応募できる求人であるため、応募者数が多く、需要と供給のバランスが崩れ、給与水準が低下する傾向があります。
業界標準の影響
コールセンターの業界には、一定の業界標準が存在しており、その標準に沿った給与が支払われることが一般的です。業界標準が低い場合、それに従ってコールセンターの給与水準も低くなることがあります。
コールセンターの離職率が高い理由
コールセンターの離職率は高い傾向にあります。
- 2019年の報告によれば、
- 離職率10%以下の企業は32.3%
- 離職率11~30%の企業は22.7%
となっています。約3割の人はコールセンターを1年以内に辞めており、中でも、未経験者が入社してから1年以内に退職するケースが多いそうです。
他業種と比較して、コールセンターの離職率が高くなる理由としては次のものが挙げられます。
給料が低い
コールセンターの給料は、一般的に他の職種と比較して低く、ボーナスも少ない傾向にあります。また、契約社員やパート・アルバイトでの採用が多いため、福利厚生面でも不利になることがあります。
仕事のストレスが大きい
コールセンターは、常に電話が鳴り続けるなどの忙しさや、クレームや苦情対応など、ストレスが多い仕事です。それに加え、長時間の座り仕事や、マニュアルに縛られた作業などもストレスの原因となります。
スキルアップの機会が少ない
コールセンターの仕事は、基本的に同じ内容の作業を繰り返すことが多く、スキルアップの機会が少ないため、やりがいを感じられないと感じることもあるでしょう。
コールセンター経験者に向いている仕事は?
コールセンター経験者に向いている仕事にはどのようなものがあるのでしょうか?
まずは、コールセンター経験者の傾向を「スキル」と「性格」の観点から見てみましょう。
コールセンター経験者が持っているスキル
コールセンター経験者が持っているスキルには次のものがあります。
コミュニケーションスキル
コールセンターでは、顧客とのコミュニケーションが中心となります。電話やチャットで、顧客の問い合わせや要望に対応することで、コミュニケーションスキルが磨かれます。
カスタマーサービススキル
コールセンターでは、顧客からの問い合わせやクレームに対応することが主な仕事となります。顧客目線で考え、問題解決のためのアプローチを考えることで、カスタマーサービススキルが向上します。
テクニカルスキル
一部のコールセンターでは、商品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応することがあります。そのため、テクニカルスキルを磨くことができます。
マルチタスクスキル
コールセンターでは、複数の顧客と同時にやりとりをしながら、複数のタスクをこなすことが必要となります。そのため、マルチタスクスキルを鍛えることができます。
チームワークスキル
コールセンターでは、チームで仕事をすることが多く、お互いにサポートし合うことが求められます。そのため、チームワークスキルを磨くことができます。
ストレス耐性
顧客からの問い合わせやクレームは、時にストレスを感じることがあります。そのため、ストレス耐性を鍛えることができます。
コールセンター経験者の性格の傾向
コールセンター経験者にはさまざまなタイプの人がいますが、傾向としては次のようなタイプの人が多いと考えられます。
社交的な性格
コールセンターでは、毎日多くの顧客と接することが求められます。そのため、社交的で愛想がよく、他人に興味を持ち、コミュニケーションを円滑に行える性格が必要です。
勤勉で責任感がある性格
コールセンターでは、多くの問い合わせやクレームに対応するためには、高い勤勉さと責任感が必要です。また、問題解決能力が求められるため、柔軟性があり、創意工夫に富む性格も望ましいです。
ストレス耐性がある性格
コールセンターでは、怒りや不満を持った顧客とのやり取りが日常的に発生するため、ストレス耐性が求められます。また、長時間座りっぱなしで作業することが多いため、忍耐強い性格も必要です。
冷静で判断力がある性格
問題解決には冷静さが求められるため、判断力があり、感情に左右されない性格も重要です。また、トラブルが発生した際には、迅速かつ正確な対応が必要となるため、正確性や細心の注意が必要な性格も求められます。
コールセンター経験者に向いている職種
コールセンター経験者の持っているスキルと性格傾向を考慮すると、次のような職種の適正が高いと考えられます。
顧客サポート業務やカスタマーサービス業務
コールセンターでの経験を活かして、他の企業の顧客サポートやカスタマーサービス業務に就くことができます。コールセンターで培った顧客対応スキルや問題解決スキル、コミュニケーション能力を活かして、サポート業務を行うことができます。
テレマーケティング業務
コールセンターでのテレフォンセールスやアポイントメント設定の経験を活かして、テレマーケティング業務に転職することができます。商品やサービスの販売や顧客のアポイントメント設定に関するスキルを活かして、新しい業界で活躍することができます。
プロジェクトコーディネーターなどのアシスタント業務
コールセンターでの経験を活かして、プロジェクトコーディネーターやアシスタント業務などのオフィスワークに転職することができます。顧客対応や問題解決能力、コミュニケーション能力など、コールセンターでの経験で磨かれたスキルを活かして、新しい職場で働くことができます。
ホテルフロント、医療事務などの接客業務
コールセンターでの顧客対応スキルやコミュニケーション能力を活かして、接客業務に転職することもできます。ホテルフロントや医療事務など、接客スキルが求められる職種であれば、コールセンターで培ったスキルを活かして、新しい業界で活躍することができます。
このようにコールセンターの経験を活かせる職種はいくつもあります。ただし、就職難の現在では、こうした職種は人気があり、そう簡単には採用してもらえないという現実もあります。
すぐに一定額の収入を確保する必要がある場合には、コールセンターの経験にこだわらずに興味を持った職業に積極的にチャレンジしてみることも大切です。